ここ数年、サプライチェーンの遅延や港湾の混雑は他人事ではなく、2022年も例外ではありませんでした。長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響、ウクライナ・ロシア戦争、様々な作業停止や労働ストライキ、需要の変動を受け、2022年は港湾状況にとって波乱の年でした。
以下は、2022年に最も混雑した主要港を、コンテナ滞留時間を基準に測定し、深く掘り下げて分析したものです。
2022年に最も混雑していたのは米国チャールストン港で、その輸出滞留日数の中央値は10.39日でした。そして、次に米国サバンナ港が8.85日、また米国ノーフォーク港は6.78日と、米国東海岸から3つの港が混雑リストに入っています。
米国では西海岸よりも東海岸から出荷する傾向があるため、米国東海岸は輸出をタイムリーに行うのが困難な状態が続きました。2022年は、1ヶ月のTEU処理数で初めてニューヨークがロサンゼルスを抜いた年でした。もしこの傾向が続く場合は、海運会社は東海岸の成長に対応するためにスケジューリングを調整する必要があります。
また、中国の深セン地域の2港が6.83日、6.39日と輸出滞留のリストに入っていることがわかります。2022年、中国は新型コロナウイルス感染症の影響でより多くのロックダウンに見舞われ、港湾業務に支障をきたす結果となりました。最近、同国のゼロコロナ政策が転換されたことで、新型コロナウイルス感染者数は増加し、しばらくは問題が増加すると予想されますが、2023年を通して平準化されると思われます。
輸出貨物滞留日数では米国東海岸がトップでしたが、輸入貨物滞留日数では西海岸がトップとなり、滞留日数の中央値はオークランド港が7.16日、次いでロングビーチ港が4.76日、ロサンゼルス港が4.57日となっています。第1四半期の滞留日数と比較すると、後に輸入滞留日数は東海岸で大きく改善されていますが、西海岸は依然として混雑が続いており、多くの荷主企業が西海岸から東海岸に迂回することを決定する要因となっています。
ドイツのブレーマーハーフェン港は、輸出が7.68日、輸入が5.14日で輸出入の両方の混雑リストで第3位となりました。またベルギーのアントワープ港も、2022年の輸出入の両方の混雑リストに入った港であり、両港の運営上の遅延を示しています
上記の通り、米国東海岸は困難をしいられていますが、四半期の数字ではチャールストン港は改善が期待されています。第3四半期から第4四半期にかけて、チャールストン港は輸出滞留時間が14.7%減少し、第4四半期は年間中央値より18%近く低くなっています。一方、サバンナ港は輸出滞留時間が1.4%増加し、第4四半期の港湾混雑ランキングで1位となりました。
もうひとつの注目すべき点はバレンシア港の改善です。このスペインの港は、第三四半期は3位の混雑状況だったものの、第4四半期では完全にリスト外になっています。
全体的に、第3四半期から第4四半期にかけて、輸入滞留時間に確かな改善が見られました。オークランド港では輸入滞留時間がほぼ1週間減少し、ロングビーチ港とロサンゼルス港は港湾混雑トップ10リストから完全に外れています。西海岸はパンデミックの影響により非常に苦労していますが、その混雑も多少は和らいでいるようです。
しかし、ブレーマーハーフェン港は引き続き低下傾向が続いており、輸入滞留時間は第3四半期から第4四半期にかけて32.6%増加しました。第4四半期も滞留時間は全体の年間中央値より44.7%高い数字となっています。アントワープ港は16%減少と若干の改善が見られますが、両港とも第3四半期と第4四半期で最も混雑した港として輸出入ともに両方の混雑リストに残っています。
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