2023年12月1日
パナマ運河は、世界の船舶輸送量の40%を担うグローバル・サプライチェーンの重要な経路ですが、持続的な干ばつ状態に悩まされています。パナマ運河の運営にも影響が出ており、1日あたりの船舶通航に対し制限措置が行われています。8月には1日あたりの通航可能量が36隻から32隻に減少し、さらに11月1日には1日あたり25隻に制限されました。この追加の制限により、は運河周辺で混雑を引き起こし、通過時間の増加につながっています。
最近のキャパシティ減少は、通航を待つコンテナ船の顕著な増加を引き起こしました。2023年11月30日現在、40隻以上のコンテナ船が運河の航行を待って列をなしています。
混雑のため、バルボア港(南端/太平洋側)またはコロン港(北端/大西洋カリブ海側)の外側に停泊する船舶が増えています。下のグラフは、この地域に停泊する船舶の週ごとの増加を示しています。
8月は海上輸送のピークシーズンで貨物や船舶量が多かったことと、また、8月時点からキャパシティが1日あたり32隻に制限されたことの2つが原因で、混雑が増加し始めました。停泊船舶の数について、ピークシーズン期間中は多少変動していましたが、10月にピークシーズンは終了したにもかかわらず、11月には1日25隻に制限された結果、この混雑はさらに深刻化しました。
11月12日の週には、バルボアかコロンのどちらかに停泊しなければならない船舶が90隻を超え、これは6月上旬から100%の増加となり、9月17日の週からは143%増加しました。通過待ちの船舶が滞留しているため、この数字は今後も高止まりする可能性が大きいと予測されます。
パナマ運河では過去にも規制が実施されたことはありましたが、パナマ運河の平均通過時間は全体的に安定しており、特に米国東海岸への輸入を主とする北回りの輸送は安定していました。パナマ運河庁は、以前の制限により最も影響を受けたのは、運河到着前に通航スケジュールを組んでいなかった船舶であると改めて発表した。1日あたり25隻に削減されたことで、影響は全体に広がる結果となりました。
11月19日の週は、その週の最大トランジット時間が250%増加し、1.7日から6日に跳ね上がりました。この数値は外れ値である可能性があり、このような外れ値は過去のいくつかの週でも見られました(例として9月17日の週が最大トランジット時間の急増があったが平均に変化はなかった)。とはいえ、平均トランジット時間が50%増加していることから、この増加は単なる異常ではなく広範囲に及んでいることを示しています。
パナマ運河は現在もなお、グローバル・サプライチェーンにとって難題を突きつけており、一刻に改善される気配はありません。現在の海上貨物の輸送量が減少しているにも関わらず、パナマ運河はここ最近で最も長いトランジット時間と停泊率に直面しています。
干ばつが続いているためさらなる規制が予想されるなか、特に時間が重要な貨物については、代替航路を模索することが勧められます。米国の荷主は、運河通航を待つよりも、越境が可能な鉄道やトラック輸送を行う方が速い場合があります。近年では、米国西海岸が高い混雑率や労働争議のため、米国東海岸の港を活用する傾向がありましたが、project44は運河の複雑な状況が続く限り、ほとんどの輸送量が再び西海岸に戻ると予測しています。
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